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ポムロールの名門「シャトー・ラフルール」が全てのワインを「ヴァン・ド・フランス」としてリリースするらしい。

こんにちは、オイジーです。

衝撃的なニュースが飛び込んできました。

全てのワインを「ヴァン・ド・フランス」としてリリースする。

なんとボルドー右岸ポムロールは名門のシャトー・ラフルールは、2025年の収穫からボルドーおよびポムロールのアペラシオンに属さず、

全てのワインを「ヴァン・ド・フランス」としてリリース

することを決断したようなんです。

8月下旬の収穫直前に発表されたこの方針は、気候変動の加速と、それに対応する上でアペラシオン制度が持つ制約の大きさを理由としています。

近年の猛暑や干ばつは、従来の栽培・醸造ルールを見直さざるを得ない状況を突きつけており、ラフルールは「畑とワインを守るために変わる」という姿勢を打ち出しました。

フランス各地には、既にアペラシオンを離れて独自の道を選んだ生産者が存在します。

しかし、ボルドーの最上位に位置するシャトーがこの道を選ぶのは前例がなく、地域全体の未来に強いメッセージを投げかける動きといえますね。

ギノドー家はポムロールAOC規制を離れることで、「畑の永続性、ワインの品質と個性を妥協なく守るための実践」が可能になると強調しました。

具体的にギノドー家からのメッセージにはこのように書かれています。

「2015年や2019年、そして特に2022年の経験が気候変動を如実に示していました。2025年はさらに大きな転換点になる。」

この動きにより、ボルドーで最も尊敬される名前の一つが歴史的枠組みの外に出ることになりますが、

「ポムロールやボルドーのアペラシオン、そして同業の生産者に最大限の敬意を払いつつ行う」

と強調されていることから、アペラシオンの規約を変えることの難しさを理解しながら、切迫した現実に対応するための苦肉の策であったことが伺えます。

「変わらないために、私たちは変わる」と強いメッセージが記されています。

アペラシオンのなにが制限としてやっかいなのか考察する。

ここからはあくまでオイジーの推測ですが、アペラシオンの規約の、なにが制限としてやっかいだったのか推測してみます。

ブドウ品種の制限

  • ボルドーAOCでは使える品種が決められている。
  • 近年は「アルヴァリーニョ」など一部外来品種が試験導入されたが、まだ認可は限定的で「もっと自由に試したい造り手」には物足りない。

灌漑(かんがい)の禁止

  • 原則として灌漑は禁止。例外的に干ばつで認められるケースはあるけど、地球温暖化で毎年のように猛暑・干ばつになると柔軟に対応できない。

植樹密度・栽培方法のルール

  • 1ヘクタールあたりの植樹本数(最低・最高の密度)が細かく決まっている。
  • 気候が変わると適正な密度も変わるのに、規則が固定されていると試行錯誤しにくい。

アルコール度数や醸造ルール

  • 最低アルコール度数の規定があったり、熟成方法に間接的な縛りがあったりする。
  • 気候変動で糖度が上がりすぎる → 結果的に高アルコール化 → スタイルの調整が難しい。

シャトー・ラフルールとは

シャトー・ラフルールは、ボルドー右岸ポムロールにわずか4.5ヘクタールの畑を持つ小さな造り手ですが、ペトリュスやル・パンと並び、時に凌ぐ評価を確立してきました。

1872年の創設、1985年からギーノドー家が受け継ぎました。

メルローとカベルネ・フランを中心としたブドウで、特に樹齢の高いカベルネ・フランからの香りの複雑性は非常に高いと言われています。

ポムロールには格付け制度が存在しませんが、ラフルールは「非公式の一級」として扱われ、市場価格も数十万円に達するほどです。

2025年現在ではセカンドワインのパンセ・ド・ラフルールは数万円台。

数千円で手に入るシャトー・グラン・ヴィラージュなども同じくギノードー家の所有です。

おわりに

人類の予想をはるかに上回る速度で進む温暖化は、様々なところで変化を促してきます。

今回のラフルールの取り組みがきっかけとなり、今後雪崩のようにアペラシオンを変える造り手も現れてくるのではないかと思いました。

今後もアンテナは広く、敏感に張っていきたいと思います。

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