こんにちは、オイジーです。
とあるスパークリングワインの記事を書いていたところ
甘辛度(残糖度)の話の部分で
「あれ⋯? もしかしたら、ちゃんと理解していないな…」
と思い、色々考えた結果
「よし、実験をしよう」
と思いついたので、挑戦してみることにしました。
題して
「実際に砂糖水とレモン汁を作って、甘さを確認する」
です!(そのまんま…!)
- 意外とプロも明確なイメージはない
- ワインを扱うプロは、絶対やった方が良い
- 基準は「国際的」に割と統一されている
- スパークリングワインの「甘辛度」
- 使用する道具
- 実験方法
- ①基準となる「水」の味の確認
- Brut Nature(ブリュット・ナチュール) 【 残糖度:0〜3 g/L 】
- Extra Brut(エクストラ・ブリュット)【 残糖度:0〜6 g/L 】
- Brut(ブリュット)【 残糖度:0〜12g/L 】
- Extra Dry(エクストラ・ドライ)【 残糖度:12〜17g/L 】
- Sec(セック)【 残糖度:17〜32g/L 】
- Demi-Sec(ドゥミ・セック)【 残糖度:32〜50g/L 】
- Doux(ドゥー)【 残糖度:100g/L~上限値無し 】
- Doux(ドゥー)②【 残糖度:150g/L 】
- 甘口ワイン【 残糖度:200g/L 】
- 甘口ワイン②【 残糖度:250g/L 】
- まとめ
意外とプロも明確なイメージはない
実際ワインを扱うプロの方はどうなんだろう…と思いThreadsでアンケートを取ってみたところ、以下の通りでした。

流石みなさまプロでありますから、イメージがあります。
一方で、オイジーと同じく、
「なんとなくはイメージがあるものの、明確なイメージはない」
という方が多かったわけであります。
なかには「全くイメージがない」という方も。
でもこれわかります。
ソムリエ試験ではテキストでサラッとやるくらいだし、実際ここを学ぶ機会ってあまりないと思うんです。
ワインを扱うプロは、絶対やった方が良い
実際やってみて一言、まずこれだけは言わせてください。
「ワインを扱うプロは、絶対やった方が良い」
です。
特にソムリエさんとか、ワインショップの店員さんとか。
これね、盲点というか、多くのプロの方にとっても
「灯台下暗し」
だと思うんですよ。例えば
「Brut」
とかって、めちゃくちゃわかりやすくラベルに記載されていますよね。
ものによっては「デカデカ」とラベルの真ん中に。
それもスパークリングワインにはかなり多い割合で。
でも、当たり前すぎて、
「気にしていない」
という方が、実は多いのではないかと思います。
気にしていないどころか
「無視している」
という方もいるんじゃないかと思います。
かくいう私もその一人でした。
しかし…
「スパークリングワインの提案で言葉が出てこない」
「違いを明確に説明できない」
その原因の一つは、この
「甘辛度に明確なイメージがない」
からなのではないか、との思いからこの実験を行ってみたところ
そのあやふやな甘辛度が
「劇的に明瞭」
になり、
「味わいの構成が理解できる」
ようになりました。
正直思っていた以上の効果で、しかもそれはスパークリングワインに限らず…
スティルワインの理解度がグッと上がるという副次的効果がありました。
ここには自分で「酸」と「糖分」をコントロールしながら、「体感」していくというこの実験の仕組みが非常に有効に働いているんだと感じます。
もちろん一般の理解を深めたいワインラヴァーの方にもおすすめです。
でも個人的にはソムリエ試験の必修課題にしても良いんじゃないか…と思ったほどです。
気になった方はぜひ一度、この記事を参考にお試しください。
コストも1,000円以下で手軽にできます。
基準は「国際的」に割と統一されている
まずは、「基準」についてみていきましょう。
ワインの世界では格付けは国ごとに大きく違う…ということが多々ありますが、意外なほどに
スパークリングワインの甘辛度は、国際的に統一されているのです。
国ごとに呼び名は違ったり、昔の国ごとの格付けと併用されていたりもしますが、割と稀な例です。
特にEUに関しては法律で制定されておりますので、信頼性は高いです。
ニューワールド(EU圏外の産地)に関しても、EUほどガチガチに設定されている訳ではありませんが、慣習的にも基準はほぼ同じものが使われることが多いです。主要なマーケットであるEUに輸出するためにも、その方が都合が良いんですね。
なので
一つの基準を覚えれば、おおよそどこの国のスパークリングワインでも判断できる
という非常に優れたもの…なんです!
スパークリングワインの「甘辛度」
では、その基準となるEUの甘辛度を見ていきましょう。
実際の呼び名は国ごとに微妙に違っていたりしますが、いったん最も使われる名前でまとめます。
スパークリングワインの甘辛度(残糖度)(全7種類・↑辛口、↓甘口)
- Brut Nature(ブリュット・ナチュール)… 超辛口
- Extra Brut(エクストラ・ブリュット)… 強めの辛口
- Brut(ブリュット) … 一般的な辛口
- Extra Dry(エクストラ・ドライ)… やや辛口(僅かに甘味がある)
- Sec(セック)… 薄甘口。やや甘い。
- Demi-Sec(ドゥミ・セック)… 甘口。しっかり甘い
- Doux(ドゥー)… 極甘口。とろけるように甘い。
この表の細かい補足は他の記事に回すとして、今回はこの表に基づいて実験を行っていきます。
使用する道具
今回の実験で使う道具は以下の通りです。
- 0.01gまで測れる秤
- 白砂糖
- ポッカレモン100
- マドラー
- 計量カップ
- 水
- コップ
簡単に用途を説明していきます。
・0.01gまで測れる秤
今回はこちらを導入してみました。

よく料理人の方がスパイスを量ったりするのに使っていたりするアレです。
欲しいな…と思っていたんですが、今回ついに必要性が高まったので購入しました。
めちゃくちゃコンパクトでポケットにも入って煩わしくないぐらいのサイズ感です。これで700円というコスパは、ちょっと信じられないですね。
今回は1g以下の差でも、味わいに大きく関わってくるので、これだけ細かく測定できる量りを導入してみました。
・白砂糖
今回の実験では、手軽に手に入りながらも、できるだけ純粋な「糖分」を求めたかったので、白砂糖の「上白糖」を使うことにしました。
・ポッカレモン100
続いて必要なのは「ポッカレモン100」です。
これは純粋な糖度を確かめた後に、ワインの味わいに近づけるための「ワインの酸」を表現するために使用します。
今回の実験のマストアイテムです。
・マドラー
砂糖は水に溶けやすいので、スプーンとかでも良いのですが、今回やってみてわかったのは
「想像以上の砂糖を溶かす」
ということです。
そのためマドラーがあると便利です。
オイジーはこちらを使用しました。
・計量カップ
そして、計量カップです。500mlくらいのカップだと使いやすいと思います。
・水
そして砂糖とレモン汁を溶かす水が必要です。水道水でも良いとは思いますが、できるだけ不純物がないものがおすすめです。
・コップ
コップもなんでもいい、とは思います。でもワイングラス型の方が良いと思います。
感覚としてもワインと誤認させたい。
ワイングラスでも良いです。
今回は以前買った、ちょうど良いビールグラスがあったので使用しました。
ちなみにこちらは、テイスティンググラスでもう少し空気が含ませられたらいいな~と思い買ってみたのものの、ステムが短すぎるのかうまくスワリングはできず、普段は使っておりません。
実験方法
今回の実験方法について解説します。
冒頭にも申し上げましたが、一言でいうと
「実際に砂糖水とレモン汁を作って、甘さを確認する」
です。
①…基準となる「水」の味を確かめる。
②…各基準の「上限値」の糖分を水に溶かす。
基準はリットル当たり(/L)表記ですが、1L分作っていたら砂糖も水ももったいないので、10/1の100ml分の分量で作ります。
③…「水」と「糖分」だけを溶かした「砂糖水」をテイスティングし、「純粋な糖度」を体感する。
④…糖度を確かめたら、「レモン汁」を一滴ずつ入れ、「酸」と「糖」でできた「疑似ワイン」を体感する。
⑤…①~④を各基準ごとに繰り替えす。
甘辛度(残糖度)は全7種類ありますので、段階的に行っていきます。
では、早速いってみましょう!
①基準となる「水」の味の確認
まずは基準となる「水」の味を確認しておきましょう。
なにも入れない「素の水」です。

この「水の見た目」を覚えておいてください。ここにも重要な秘密が…隠されている…かもです。
実食:「水」のみ
水です。美味しい水です。なにも味のノッていない、ニュートラルな、シャバシャバの水です。
いつもなら何も考えずに飲んでしまうと思いますが、今回はあくまで実験一手目の大事な「テイスティング」です。
この「水の味が基準」となりますので、しっかり覚えておいて下さい。
Brut Nature(ブリュット・ナチュール) 【 残糖度:0〜3 g/L 】
最も糖度が低い、つまり最も辛口のブリュット・ナチュールです。
残糖度は 【 0〜3 g/L 】です。
今回は100mlの水で行うので、量る量は1/10の「0.3g」です。

そしてこちらが100mlの水です。
僅かな誤差でも味わいは大きく変わってきてしまうので、気を付けましょう。重さで量ってもいいと思います。

量ったら砂糖をイン!混ぜ混ぜしていきます。

このくらいならアッという間に混ざってしまいますね。
さあグラスに注いで~
わずか0.3gの砂糖が溶けただけの「砂糖水」が完成です!

さあ、見た目は…何も変わりませんね。0.3gですからね。
これで味が変わるのかっていうところですよ、問題は…
実食:水 + 砂糖(3g/L)
ではテイスティングいきましょう!感想は…
「甘さなど全く感じない」
です。なるほど…これがブリュット・ナチュールのレベル感ですね。
良いですよ、良いですよ。最初からそんな期待していませんから…
結論は、
「ほぼ水」
ですね。
実食:水 + 砂糖(3g/L)+ レモン汁
さあ、ではここからはレモン汁を追加します。
殿下の宝刀、「ポッカレモン100」を使用します。
これには「ワインの酸」を表現するという大事な大事な役割があります。一滴ほど垂らしてみます。

味わいにはどうかというと…
まあそのまま「薄めたレモン水」です。
酸が際立ちますね。糖分が無いからでしょうか。
レモン系酎ハイの「無糖」や「糖質ゼロ!」と謳っている商品とよく似た味わいです。
よくわかりました。
ではどんどん糖分を追加してきましょう。
Extra Brut(エクストラ・ブリュット)【 残糖度:0〜6 g/L 】
続きまして、エクストラ・ブリュットです。
残糖 は、【 0〜6 g/L 】 です。
実食:水 + 砂糖(6g/L)
さて、では1/10の量である、「0.6g」の上白糖を100mlの水に溶かしてみましょう。

少し増えましたが、まだ「これだけか」と感じるくらいの量感です。
では混ぜ混ぜして〜、溶かして〜、出来上がった液体がこちら!

「!?」
これは⋯
甘さは「探せばなんとか見つけられる」くらいです。
甘いと感じる人はまぁほぼいないんじゃないかな⋯と思います。
いるとしたら⋯相当、繊細な味覚の持ち主でしょうね。
それよりもすごいのが
「水にコク」
が出ることです。
厚みが出て、ただの水が
「分厚い水」
に感じます。
以前一緒に働いていたシェフが、
「糖分はごく少量だと旨味と勘違いする」
と言っていたのを思い出しました。
3g/L 〜 6g/L の間には甘さとしての違いはほぼ感じないものの
「味の質が違う」ということが感じ取れます。
実食:水 + 砂糖(6g/L)+ レモン汁

なんと、ここでも大きな変化を感じ取れます⋯!
3g/L まではただ、酸っぱいだけだった液体が
「感じない程度の甘み」
によって
「角が取れて、丸みが出ている」
で、これがワインにおける
「果実味」
の感覚にかなり近い。
果実味の正体ってもしかして⋯⋯
Brut(ブリュット)【 残糖度:0〜12g/L 】
続きまして、ブリュットです。
目にする機会も多いですが、圧倒的シェアNo.1。
市場に出回るスパークリングワインの7〜8割はブリュットだと言われています。
そんなブリュットの残糖度は【 0〜12g/L 】
上限値が倍々で増えていきますね。
実食:水 + 砂糖(12g/L)
というわけでいつものように1/10の量の「1.2g」を量ります。

なんだか一気に砂糖の量が増えたように感じます。
この砂糖の量を見るだけで直感的に
「甘そうだな⋯」
と思うような量感です。

「これは⋯」
うっすらですが⋯「甘い」と認識できます。
ただこれでも甘いと感じない人もいるかもしれない。そんなレベル感です。
上限値でこれだとすると⋯中間の10グラムとかでは、ほとんどの人は
「甘いとは感じず」に
「果実味がある」
「味わいに膨らみがある」
「ボディ感がある」
と感じるだろうと思います。
しかし上限値の12gだと⋯ドライな味わいが好きな人には「わずかに甘い子と感じるかもしれない⋯と思いました。
実食:水 + 砂糖(12g/L)+ レモン汁

なるほどー!!!
これは多くの人がイメージする「レモン水」の味わいレベル。
今までのグレードよりも若干多い糖分が
甘みこそほぼ感じないもののの
「酸のキツさをマイルドにする」
という効果があることがわかります。それにより
「幅広く受け入れられやすいレベル感」
であるからこそ、ブリュットが多く市場に出回っているのだということがわかります。
一方で
「酸の鋭さ、質感はマスキングされ、ディテールを隠す」
とも感じ始めました。
つまり
「雑に作っても不具合が感じづらい」という側面もあり、
造り手側にとっても都合の良い糖度帯だと言うことがわかります。
商品検索で「ブリュット」のワインを探すときには少しコツがあります。
というのも、「スパークリングワイン ブリュット」で検索すると、「ブリュット・ナチュール」や「エクストラ・ブリュット」がヒットしてしまうからです。
なので「マイナス検索」が便利です。
「-(ハイフン)」を付けて、「ナチュール」や「エクストラ」を除外して検索します。つまり…
「スパークリングワイン ブリュット -エクストラ -ナチュール」
で検索するということです。
以下のリンクは、上記ワードで検索済みのページに飛べます。ちなみにこの方法はAmazonだとよく効きますが、楽天やYahoo!ショッピングだと効きがあまいです…
Extra Dry(エクストラ・ドライ)【 残糖度:12〜17g/L 】
倍々に増えていくのは終わり、エクストラ・ドライの残糖度は
【12g〜17g/L 】となります。
日本人の感覚で言うと、エクストラ・ドライと言われれば
「最もドライなグレード」なんじゃないかと思ってしまいますが
ワインの世界ではなんと上から4つ目
ブリュットの下という、割と糖分の入ったグレードになります。これは甘口が主体の時代に作られた制度の名残であるようですね。(混乱の原因の一つになっている気がするけど⋯)
実食:水 + 砂糖(17g/L)
というわけで今回量るのは「1.7g」です。

5gとはいえ、見た目的には「増えたな⋯」という感想です。
やはりエクストラ・ドライという名称のわりには⋯多く感じますね。

ガツンと来るわけではありませんが⋯
「うっすら」は少し超えた甘さレベルであることに驚きます。
余韻にも甘さが少し尾を引きます。
実食:水 + 砂糖(17g/L)+ レモン汁

これは⋯また衝撃的な変化があります⋯!
なんとレモン水入れると
「かなり甘さが目立たなくなる。」
感覚的には南仏やニューワールドなどの暑い地域のワインに似ている味わいです。
糖分は感じます。
特に余韻に甘さが残ります。
しかし
「甘いと感じるかどうかは、人による」といえるレベル感。
この感触は
「果実味」と表現する人もいるだろうし、「フルーティ」だと言う人もいるでしょう。
ただひとつ明確に言えることは
日本人が考える、「エクストラドライ=超辛口」のレベル感での辛口ではない。
ということです。
「辛口に入る」と言えるか、言えないかギリギリちょー微妙なレベル感です。
「辛口の中では甘い」
「うっすら甘口」
「薄甘口」
このあたりの表現が適切に感じます。
とはいえ
「下限の12g/Lならば辛口」と言えるレベル感だし、
「上限の17g/Lだと薄甘口」になるという意味では
非常に厄介な糖度帯だと思いました。
しっかりテイスティングし、アイテムごとの糖度感をしっかりと把握した上で提案しないと、
「求めていた味わいと違う」
ということになり、痛い目に見ることになりそうです。
これはプロほど注意しないといけないな⋯と思いました。
ちなみにエクストラドライの上限値である17g/Lという糖度帯は、微糖の缶コーヒーや紅茶(150ml/杯)にスティックシュガー1本入れた位の甘さのようです。
Sec(セック)【 残糖度:17〜32g/L 】
続きまして、セックの世界です。
残糖度は【 17〜32g/L 】ということです。
実食:水 + 砂糖(32g/L)
ということで今回の分量が
「3.2g」です。

わーお。かなり増えてきました。
これはそろそろ甘口の世界に足を踏み入れたかな? さて⋯

明確に「甘い」を感じ取れる糖度帯です。
ただし、意外にも「過度に甘くはなく」
「薄甘い」の範疇で
人間の味覚が甘さの帯域に、わりと鈍感なことがわかります。
実食:水 + 砂糖(32g/L)+ レモン汁

心地よく、馴染みのある甘さです。
甘さ控えめのジュースくらいの甘さ。
結構砂糖を入れたつもりでも、これだけしか甘さを感じないと言う事は、市販のジュースがめちゃくちゃ砂糖が入ってるって言うことをがよくわかります。
また、ここでもう一つ発見がありました。それは⋯
「レモン汁を入れるほど甘さが目立たなくなる。」
ということです。
つまり、
「酸があるほど甘さが際立たない。」
さらに多分これは超重要なポイント。
「レモン汁を入れるほど、味わいが“強く”感じる」
ということです。
これにより、
「“酸”と“糖度”の量が多いほど、味は強く、ボリュームがあり、深みを感じる」
ということがわかります。
つまりこれは⋯
「凝縮したぶどうの味わいが強く、深みを持つ」
ということを成分的に再現したということでもあり、
スパークリングワインだけではなく、まさにスティルワインの真髄にも迫るポイントであると感じました。
ちなみに、おおよそグリーンダカラの糖度と同じくらいのようです。
Demi-Sec(ドゥミ・セック)【 残糖度:32〜50g/L 】
続きましてドゥミ・セックの世界です。
残糖は【 32〜50g/L 】となります。
実食:水 + 砂糖(50g/L)

というわけで今回は「5g」を投入していきます。なかなかの量ですね。

甘い。
舌に当たった瞬間、瞬発的に甘いと感じます。
が、甘ったるいとは言い切れないギリギリのレンジ。
なので、まだデザートワインとは言えないレベル感です。
食後酒にしては甘さが薄い。
食材によっては、まだまだ合わせられる範囲なので
「食中酒としても扱われる範囲」
なのだろうと感じます。
ジュースと比較すればまだ甘さは控えめ。
市販の一般的なカフェラテとかの甘さに近いと感じます。
ここで気づいたことがあります。それは⋯

見た目に輝きが出てきたということです。
少し水飴っぽくなってきたような感覚です。
実食:水 + 砂糖(50g/L)+ レモン汁

ここまでくると1、2滴入れただけじゃ甘さが全然勝ってしまいます。
全然「酸」が感じられない。
つまり、
甘いワインであるほど、かなり強烈な酸がないと、バランスとして成り立たない。
試しにレモン汁を5滴ほどに増やしてみると⋯
見事にバランスが取れました。
あれ⋯?
でもこれなにか飲んだことあるな⋯と思ったら
スポーツ飲料の「アクエリアス」の味わいバランスであることに気がつきました。
調べたらアクエリアスの糖度は49g/L。
ドンピシャです。
ということは⋯
「これに塩入れたら、アクエリアス作れるじゃん。」
と思い、手元にある岩塩を細かく削って入れてみたところ…
「まんまアクエリアス」になりました。
しかも岩塩だと旨みも乗るのか、やたらウマい。
「ドゥミセックの甘さ上限値はアクエリアス。」
これはかなりイメージしやすいし、使えるんじゃないかと思います。
Doux(ドゥー)【 残糖度:100g/L~上限値無し 】
さあここからが本番です。
ドゥーの残糖値は【50g/L以上】です。
そうです、上限値が設定されていないのです。
つまりグレードとしては最も残糖値が高いグレードになります。
下限である50g/Lは前項で試したので、全体像を掴むためにもこの後は50gずつ足していくことにします。まさに未知の世界です。
それではまずは残糖度【 100g/L 】である「10g」をいってみましょう。
実食:水 + 砂糖(100g/L)

おいおいおいおい…
凄い量の砂糖です。
実際に量って目の前に置かれると、
「こんなに…?」
と思います。
目の前にモリッと盛られた砂糖を見て、これ本当に摂取して大丈夫なの…と思います。
この衝撃を体感するだけでも、この実験をやってみる価値はあると思います。

甘い。
ここまでくると「純粋な甘口」です。
ですが、まだ「瑞々しさ」が残ります。
なのでごくっと飲める。
が、酸が無いと少しキツイ。
コーラやファンタの甘さレベルがだいたいこれくらいらしいですが、やっぱり相当砂糖入ってるんだな…と感じます
実食:水 + 砂糖(100g/L)+ レモン汁

うわー…これはうまい。
少量だとやはり「糖分」に「酸」が負けて、バランスがとれないのですが、
徐々に足していき…10滴ほど入れると
「マジでうまい。」
甘さと酸のレベルが釣り合い
「ジュース」
になります。
最初にくる感覚が「甘い」じゃなくて
「うまい!」
になる。
だから、ゴクゴク飲めてしまう。
様々なジュースの糖度レベルがここにある理由がわかりました。
甘口ワインでも、この感じなら瞬発的に「旨い!」と言えるだろうし、
コクも深みも申し分なく、若干とろみもある。
なにせ溶かした時ガムシロップでも作ってるんか?と思うくらいでしたからね。
ちなみに溶かしている様子はこちらのYoutubeからもご覧いただけます。
Doux(ドゥー)②【 残糖度:150g/L 】
さあここからは天井の無い、戦いです。どこまでいけば
「もういいや…」
となるのか、そのあたりも体感していきたいと思います。
ただ実際は
「スパークリングワインのドゥーとしての甘さの上限値は150g/Lくらいまで」
のようです。
そもそもドゥー自体が少数派ですが、その多くは80〜120 g/Lくらいに収まるそうです。
とはいえ、上限を体感することに意味があります。
では「15g」を量っていきたいと思います。
実食:水 + 砂糖(150g/L)

はい、見た目はもう
「雪」
ですね。
本当に人間が接種して良い量の砂糖なのか、疑問に思います。

甘い。
これだけ砂糖入れても、まだ飲めると言う自分の味覚が信じられません。
でも、それだけ現代人は
「甘さに鈍感」
になってるということなのでしょう。
だってケーキとかチョコレートの方がもっと甘く感じるもん…
ここまで来ると、糖分だけでかなりのとろみがつきます。
人によっては、甘ったるいと感じるでしょう。
液体全体に甘さがいきわたり、
かなり飽和されている感じがあります。
実食:水 + 砂糖(150g/L)+ レモン汁

いや・・・うまい。
まじで旨い。
なんだこれ。
あれだけ甘かった液体が
「グビッ」
といけるくらいになる。
これでようやくソーテルヌとかの糖度感になってきた感じです。
ソーテルヌに「法定の糖度基準」はありません。
一般的な残糖量は「約120〜160 g/L」
シャトーや年によっては「 100 g/L前後〜200 g/L超」もあり得るようです。
アイスワインにはまだ届かないかな…
酸と糖分の組み合わせって奥が深すぎる。
ちなみに調べると杏仁豆腐くらいの甘さレベルのようで、確かに杏仁豆腐のレベルであると思います。
そうか…ソーテルヌの甘さレベルは杏仁豆腐と同じくらいだったのか…
甘口ワイン【 残糖度:200g/L 】
ついにここまできましたね。 残糖度【200g/L 】です。
ここまでくると流石にドゥーも存在しないようなので、カテゴリーを
「スパークリングワイン」から「甘口ワイン」
に切り替えました。
とはいえここまで驚きの連続。
もう驚かないぞ…と思いつつ、また新たな発見をもたらしてくれるのではないかとドキドキしてしまいます。
では「20g」
いってみましょう。
実食:水 + 砂糖(200g/L)

もう砂糖の量が多すぎて、お皿を変えてしまいました。
凄い量だ…溶けるかな…

甘い!
めちゃ甘い…ですけど
「うまい!」
なんだこのバグみたいな感覚…
かりんとうやみたらし団子を食べた時くらいの甘さ感覚です。
あ、でもアイスワインのレベル感はこんな感じかも。
実食:水 + 砂糖(200g/L)+ レモン汁

この前の糖度レベル(150g/L)までは、レモン汁を多く入れた方がワイン(ソーテルヌなどの貴腐)のバランスに近かったんです。
でもここまでくると、逆に、レモン汁の量は3滴位に減らした方がアイスワインの味わいに近い。
つまり、アイスワインぐらいまで来ると「残存している酸の量」というのは
微量で僅かしか無いということがわかります。
一方で、味わいのバランスとしては、微量の方がバランスしており、
甘さが前に来る方がバランスが崩れない。
レモン汁を多く入れてしまうと、いわゆる蜂蜜レモンになってしまい、
ワインとしての味わいが壊れてしまう…
ということがわかります。
アイスワインはドイツやカナダで作られる、寒くて凍ったブドウからできる甘口ワインです。
ドイツでは収穫前の糖度をエクスレ度という基準で量ったりしたものが基準となるのですが…ややこしいのでざっくり糖分は以下の通りです。
【ワインとしての残糖度の目安】
・アイズヴァイン(ドイツ) 約120〜180g/L
・アイスワイン(カナダ) 約180〜350g/L
甘口ワイン②【 残糖度:250g/L 】
さあ、ようやくここまでたどり着きました。
残糖度【250g/L】です。
そしてこの実験もここを最後としましょう。
というのもこの糖度がドイツの最も甘口であるトロッケンべーレンアウスレーゼ(TBA)のおおよそ中心~最高糖度になるからです。
トロッケンべーレンアウスレーゼ(TBA)とは…?
貴腐菌が付着し、さらに「干しぶどう」のように水分が極端に失われたブドウ粒だけを選び抜いて造られる、ドイツで最も甘く希少なワインです。
収穫時の糖度は非常に高く、発酵後も150〜300g/L以上の糖分が残る実用上最も甘い部類に入る甘口ワインです。
ではいきましょう。
「25g」を量っていきます。
実食:水 + 砂糖(250g/L)

もうここまでくると砂糖の量だけでは驚かなくなってきますよ…
「⋯なんだ、この量は!?」
はい⋯もはやプロ驚き屋と化したオイジーです。
かなり時間がかかるようになりましたが、ちゃんと溶かすことができました。
見た目の変化がかなり出てきて⋯

糖分だけでグラグラとした輝きを放っているんですよね。
写真だとわかりづらいかもしれませんが、見た目の印象としては変わってきたなという感覚があります。

「パンッ!」と弾けるような甘さ。
甘さを感じるまでに瞬発力があり、ダイレクトで強烈。
ガムシロップを飲んでいるような感覚だが、ガムシロップよりかは瑞々しいです。
実食:水 + 砂糖(250g/L)+ レモン汁

やはりこのレベルまでくると、逆に酸の量は少ない方が良いようだ。
そして微量の酸が、糖分だけの時には存在しなかった
「脳天直結」
の脳がとろけるような至福の甘さに変わる。
超うまい。
「うますぎる。」
しかし酸の量を増やしすぎると
至福の甘さから逸脱して、ただの濃い蜂蜜レモン水になる。
やっぱりバランスなんだ⋯
全てはバランス⋯
まとめ
お疲れ様でした。
ここまで見てくださった方もお疲れ様でした、ありがとうございます。
結論、
「酸と甘さの関係は、バランスが命、」
多分良いワインメーカーもバランスの取り方が秀逸なんだ・・・という
予想だにしなかった結論に着地しました。
「バランスが釣り合ったとき、“想像を超えたうまさ”が産まれる。」
ということには、確信を得たような気持ちです。
ワインの持つ魔力の正体は、バランスから産まれるのかも知れないとすら思いました。
エレガンスの正体ももしかしたら⋯
これ、ぜひプロの方はやっぱり体感してみて欲しい。
1000円くらいのコストでできるので。
スパークリングワインから甘口ワインに至るまで一つの根拠を持って提案できるようになると思います。
もちろん、興味のあるワインラバーの方にも強くおすすめです。
さらに「塩」と「味の素」を加えてもっと細かくやったら、「味とは何か」の解像度がめちゃくちゃ上がるんじゃないかとも感じました。
なので、料理人の方もいいかもしれません。
結局、ワインに限らず、
「うまいと感じるポイント」
は、バランスが釣り合った時にしか産まれない。
ワインにおいては、そのポイントがワインの種類や産地によって違う。
だからそれごとに
「うまいの種類が違う」
のかもしれませんね。
では、また。
| グレード名(ローマ字) | グレード名(日本語) | 残糖度 (g/L) | 甘辛度(説明) | 実験結果コメント(疑似ワインの味わい) | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Brut Nature | ブリュット・ナチュール | 0〜3 g/L | 超辛口 | 3g/Lのレベル(上限値)では、甘さは全く感じず「ほぼ水」のレベルでした。レモン汁を加えると酸が際立ち、「薄めたレモン水」のように感じられます。 | ||
| Extra Brut | エクストラ・ブリュット | 0〜6 g/L | 強めの辛口 | 6g/Lのレベル(上限値)では、甘さはほとんど感じないものの、「水にコク」が出て「分厚い水」に感じます。レモン汁を加えると、酸の「角が取れて、丸みが出ている」状態になり、これはワインの「果実味」の感覚に非常に近いと体感されました。 | ||
| Brut | ブリュット | 0〜12g/L | 一般的な辛口 | 12g/Lのレベル(上限値)で「うっすら甘い」と認識できますが、ドライ好きにはわずかに甘く感じるかもしれません,。レモン汁を加えると、「酸のキツさをマイルドにする」効果があり、幅広く受け入れられやすい「レモン水」の味わいレベルとなります。 | ||
| Extra Dry | エクストラ・ドライ | 12〜17g/L | やや辛口(僅かに甘味がある) | 17g/Lのレベル(上限値)は「うっすら」を超えた甘さレベルです。レモン汁を加えると「かなり甘さが目立たなくなる」ものの、余韻に甘さが残るため、「辛口の中では甘い」「薄甘口」といった表現が適切に感じられます。日本人が想像する「超辛口」のレベルではないため、プロほど注意が必要な糖度帯です,。 | ||
| Sec | セック | 17〜32g/L | 薄甘口。やや甘い | 32g/Lのレベル(上限値)では、明確に「甘い」を感じ取れますが、「薄甘い」の範疇です。レモン汁を加えると「心地よく、馴染みのある甘さ」となり、甘さ控えめのジュースくらいの甘さになります。酸と糖度が多いほど、味は強く、ボリュームがあり、深みを感じることが発見されました。 | ||
| Demi-Sec | ドゥミ・セック | 32〜50g/L | 甘口。しっかり甘い | 50g/Lのレベル(上限値)は舌に当たった瞬間、瞬発的に「甘い」と感じるレンジです。レモン汁を適量(5滴ほど)増やすと、市販のスポーツ飲料「アクエリアス」(糖度49g/L)と酷似した味わいバランスとなりました。 | ||
| Doux | ドゥー | 100g/L~上限値無し | 純粋な甘口からとろけるように甘い極甘口まで。 | 100g/Lのレベル(下限値)は「純粋な甘口」であり、まだ「瑞々しさ」が残ります。レモン汁を多めに加えると甘さと酸のレベルが釣り合い、「うまい!」と感じる「ジュース」のような味わいになります。コクと深みがあり、若干とろみも感じられます。 |
参考資料
・European Commission, “Commission Delegated Regulation (EU) 2019/33 of 17 October 2018 supplementing Regulation (EU) No 1308/2013 …”, Official Journal of the European Union, L 9/2, 11 January 2019. Annex III Part A: Indication of the sugar content on sparkling wines.
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32019R0033



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