こんにちは、オイジーです。
現在の本業からは逸れるのですが、本日ショッキングなニュースを見ました。それが、
「アフリカ豚熱(ASF)によるスペイン産豚肉の輸入停止」が2025年11月28日付けで農林水産省より発令されたというニュースです。
実は私オイジーはワイン屋以前は食肉のインポーターを10年以上やっていました。そしてスペイン産豚肉は年間200t以上輸入をしていました。
今回と同様に「ASFによるイタリア産豚肉の輸入停止」時は現役でした。
こういうのって現役の業界人は発信しにくいんですよね。なによりてんやわんやでそんなことしてる場合じゃない。
ということで多分このニュースを多分一番詳しく、正しく解説できるかも…いやむしろワインを扱う飲食店さんへの影響って多大だし、記事にするしかないな…
と思い、書くことにしました。
「ハモン・セラーノ」、「イベリコ豚」が日本で手に入らなくなります。
結論から申し上げますと
「ハモンセラーノ」、「イベリコ豚」が日本で手に入らなくなります。
「生ハム」は希少になり、価格高騰する可能性がかなり高いです。
「え? 本当にいきなり無くなるの!?」
って感じですよね、わかります。でもこれは本当なんです。かつてイタリア産豚肉の輸入が禁止された時もいきなりでした。
理由は冒頭にも申し上げましたが、金曜日に農水省から発令された
「アフリカ豚熱(ASF)によるスペイン産豚肉の輸入停止」
です。
スーパーで販売されている「ラックスハム」とは別もの
今回市場から無くなると予想されるものは、スーパーで販売されている国内メーカーが作ってる、生ハム風「ラックスハム」ではなくて、レストランなどで提供されている本格的なものです。
元々生ハムといえばプロシュート。
これはイタリア産で生ハムを世界的に広めた素晴らしいものですが、イタリアでのアフリカ豚熱発生により長いこと輸入が停止されています。
その代替としてスペイン産生ハムの輸入、使用が進められてきましたが、それも停止⋯というのが今回の措置です。
他の代替国もあるでしょうが⋯この二カ国(イタリア、スペイン)が生ハム生産の最大国だったことは多くの方がなんとなく想像つくでしょう⋯
アフリカ豚熱(以下ASF)はヨーロッパ全土に広がっています。これは山林に生息している野生のイノシシが媒介源です。なので地続きのヨーロッパはどこも防疫に苦労しています。
今販売されている在庫がなくなったら終わり
また生ハムで使うのはモモ肉ということで、それ以外の部位はかなり安かったのがスペイン産ですがそれが入ってこないというのは⋯そこまで大きな影響ではないものの、バタフライエフェクトのように食肉加工品のコストを押し上げる要因になるのは間違いありません。
考えられる輸入ルートはまだASFが発生していないヨーロッパ諸国か、北米産などでしょう。ただ北米ももちろんヨーロッパほど生産量はなかったと認識してますので、需要に対応できる生産量になるまでは時間がかかるでしょう⋯
ということで、スペイン産生ハムであるハモンセラーノ、イベリコ豚は残念ながら今後の輸入再開は、かなり長期間むずかしいと思います。スペインでしか生産されないものなので。今日本に在庫がある、または出荷され船上にあるもので終わりでしょう。
そもそもアフリカ豚熱(ASF)とは?
有効なワクチンや治療法がなく、致死率ほぼ100%の感染病です。通常の豚熱とは違う、アフリカ発のやばいやつです。
冷凍や冷蔵でも死なない超強い菌で、ドリップでも感染します。
なので豚の飼育場などでは防疫が徹底されています。(人には移らない)日本は現状非汚染国です。(島国強い)
これが日本に入って来た時、畜産業界のダメージは半端ないです。鳥インフルの豚版、それ以上かもしれません。
かつて中国で流行したときには路上に豚が倒れこむなど散々な様相を目にしました。なので防疫措置は徹底します。今回の停止措置はその一環です。
多分なかなか輸入再開されない
一度輸入停止になると10年単位で停止になる可能性が高いです。
現にイタリア産は4年前に、停止になってから一向に解除されていません。
その時も「一時停止」と言われました。
少しご想像いただければ、この感染の根絶を証明するのが難しいのがお分かりいただけるでしょう。なにせ山林に生息するイノシシが媒介源ですから…
代替品はある?
代替措置としてフランス、ポルトガルなどの生産国はありますが、生産量を増やすのは厳しそうだな⋯と思います。
それは結局、地続きであるがゆえにASFが伝染するリスクと隣り合わせであるが故に、増産投資した途端に発生したら目も当てられないからです。
造りもスパイスを効かせたり、同じものではないですからね。
日本でも「生ハム」を製造するメーカーは 増えて来ているようですが、高温多湿の日本では雑菌の繁殖リスクも欧州より高く、長期熟成のハードルはかなり高く、全く同じものを作ることはなかなか困難でコストもかかるようです。
そもそも生ハム用と、日本人が食べるようでは豚肉として求められる要素が違うので、品種自体が違います。結果風味もかなり変わってきます。
そして生ハム用の品種は主にヨーロッパでしか生産されていません。ヨーロッパからは船便で冷蔵で運ぶことは不可能です。(船便で数カ月かかるので)
生ハムのために品種を変えて飼育する…なんていうところもないでしょう。日本での用途はしゃぶしゃぶや炒め物、トンカツ、豚汁…これらにするなら日本や北米の品種の方が圧倒的に美味しいからです。
なので今のうちに楽しむに限る
というわけで⋯できることは残念ながら今のうちに楽しむ…ということでう。私はAmazonセール中に、原木を買い込みました。
生ハム好きの同士はぜひ今のタイミングで⋯
スライス済みはこちらです。
オイジーは生ハムの潤いが欲しいので切りたてが食べられるスライスを買いました。スライサーなんかでもスライスできるのでお勧めですよ。
生ハムを多用される飲食店様へ
特にお店にの売りにされている飲食店様も多いと思います。
代替品への移行は早めに検討された方が良いでしょう。
フランス産なども流通していますが、値上がり必至です。
日本でも低温燻製のラックスハムではなく、「生ハム」を製造しているメーカーさんもあるようようです。
何個か買ってみたので今後時間があれば、レビューしようと思います。
おわりに
別に不安をあおりたいわけではないんですが、早めに情報を仕入れられた方が対策が立てやすいはず、と思ったので記事にしました。
輸入業者、ご担当者さんの心情は察するに余りあります。
しかし日本の畜産を守るためには致し方ない処置だとも思います。
この記事がなにかのお役に立てれば幸いです。
では、また。



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