こんにちは、オイジーです。
「フルボディこそスーパーなワインの証だ!」
そんな時代はもう終わりなんでしょうか?
なんと、ボルドーでは、ワインが売れなくてブドウ樹の引き抜き補助金が出る事態にまで発展してるらしいということで、調べてみました。
なぜ引き抜きしているの?
フランス人のワイン消費量の激減
日本でも若い人のアルコール離れが顕著ですが、フランスも同様のようです。
フランス全体でワインの消費量は1960年代の1人あたり年間120リットルから現在は40リットル程度まで減っているとのこと。
なんと3分の1まで減っているんですね。
とはいえ一日換算で、一杯弱。
まだまだ日本人の感覚ですと、よく飲むなあというレベルですが、かつては3杯/日以上飲んでいた人たちからするとかなり少ないですよね。
味わいの趣向の変化
世界的にも、和食のようなヘルシーな料理の人気が出てきているのにつられてなのか、特にフルボディのボルドー赤ワインは人気が落ちているようです。
代わりにロゼや白、スパークリングの人気が高く、ブルゴーニュのようにエレガント系赤ワインの産地はむしろ人気で価格高騰に拍車がかかっています。
この辺りもボルドーにとっては向かい風となる要因ですよね。
中国向け輸出が激減
輸出も低迷しており、中国向けがなんと2023年と比較して17%も減少しているようです。
理由は中国の景気後退などのようですが、コロナ禍を下回る状況だとか。
そのほかにもトランプ関税の先行きが見えずにアメリカ向けの輸出が一時停止になるケースなどもあったようで、輸出全体が苦境にあったことが手に取れます。
在庫が膨らむのもわかりますね。
ブドウ樹を引き抜くと補助金が出るらしい
その対策として、ボルドーを含むジロンド県では約9,500ヘクタールの余剰ぶどう畑を引き抜く計画が進められており、希望者には1ヘクタールあたり約6,000ユーロ(約100万円)の補助金が支給されるようです。
申請者は1,200件ほどあり、順次引き抜きが進められる予定です 。
フランス政府とヌーヴェル=アキテーヌ地域圏、ボルドーのワイン委員会はさらに大規模な計画として約1億2,000万ユーロの予算をEUに申請し、30,000ヘクタールのぶどう畑を永久的に抜くことを検討しています 。
この計画では1ヘクタール当たり最大4,000ユーロ(約65万円)が支給され、受け取った生産者は少なくとも2029年まで同じ土地に再植樹できません 。
このプログラムは長期的に100,000ヘクタールまで広げることを想定しており、これまでに約8,000ヘクタールが引き抜かれたほか、新たに1,000ヘクタール分の追加引き抜きが計画されています 。
すでに結構な量のブドウの樹が引き抜かれているんですね。
これからどうなる?
ではこのようなことが起こるとどうなっていくのでしょうか?
歴史は繰り返される、ということで調べてみると、
似たような史実が、実はロワールでありました。
土地が安くなるから、若い生産者の参入が増える。
セーヴル=エ=メーヌなどのロワール川河口近くのミュスカデの地域では、1970〜80年代にかけて、大量生産と安ワインのイメージが定着し、ブランドとしての価値が大きく低下しました。
しかし、1990年代以降、需要の低迷とともに土地価格が下落。
結果的に若い世代や外部からの造り手が参入しやすい環境が整いました。
これにより、従来の大量生産型とは異なる、小規模で実験的なワイン造りが可能になり、熱意のある若手生産者が参入するようになりました。
2000年代に入ると、彼らはシュール・リー熟成の表現や「クリュ・コミュナル(特定村名格付け)」の確立など、品質志向へと舵を切りました。
テロワールの違いを反映させたり、ナチュラル志向の造りが注目されるようになり、従来のイメージを払拭する新たな価値が生まれました。
その結果、ナチュラルワインやテロワール重視の生産者が台頭し、ミュスカデは再び活気を取り戻すことに成功しました。
かつては「日常消費の安ワイン」とされていた地域が、今では個性的な白ワインの産地として再評価されつつある・・・ということですね。
ボルドーも今は苦しいかもしれませんが、将来に向けて脱皮の時・・・なのかもしれません。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
実は最近、記事の内容に反して、当店ではボルドーワインが人気なんです。
というのも安いわりに旨い、からなんですね。
しかしこれも世界的には、人気がなく売れないから安いわけであって、ボルドーにとっては決して喜ばしくない事実でしょう。
そんなボルドーも現状を受け入れて変化をしていっているようで、以前よりも、繊細な表情を携えたワインが多くなっている印象です。
まだ、黒ブドウに白ブドウをブレンドした、「ロゼではない淡い赤ワイン」が増えてきたり、世界的なトレンドに合わせようという姿勢が見て取れます。
これからのボルドーは、ロワールのように生まれ変わるのか、はたまたどうなっていくのでしょうか。
いちワインファンとしては、偉大な産地であるボルドーの復活を願って止みません。
頑張れ、ボルドー!
あ、そうだ。
「飲んで応援しよう」
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